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感染症疫学は“絶滅”の危機にあった - 西浦博・京大教授に聞く◆Vol.1

インタビュー 2020年9月4日 (金)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応で、「8割おじさん」として広く世間に知られるようになった西浦博氏。この8月から研究拠点を北海道大学から、京都大学に移した。新しいポストは、同大大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康要因学講座環境衛生学分野教授。教授就任は2019年11月に決定したが、COVID-19の第1波がひと段落してからの異動となった。 COVID-19対応における西浦氏の一連の活躍は、感染症疫学というこれまで医療界でもあまり知られていなかった分野にスポットライトを当てるきっかけとなった。京大という新天地で何を目指そうとしているのか――。感染症疫学を取り巻く研究、人材育成の動向も含めてお聞きした(2020年8月21日にオンラインでインタビュー。全5回の連載)。 ――COVID-19対応では、感染症疫学という学問分野が非常に注目されました。先生ご自身はどう受け止めておられますか。 疫学の中でも感染症疫学はマイナー領域ではあるのですが、新興感染症の発生を想定したので、準備していた通りのイベントは起こった。けれども、思いのほか、流行の波及する規模や社会的注目が大きな世界...