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高裁判決、「具体的かつ迫真的」という部分が独り歩きした- 川本瑞紀・乳腺外科医裁判被害者参加弁護士に聞く◆Vol.2

インタビュー 2020年9月21日 (月)  聞き手・まとめ:星野桃代、高橋直純(m3.com編集部)

【川本瑞紀・乳腺外科医裁判被害者参加弁護士に聞く】(2020年8月5日にインタビュー) Vol.1 DNA鑑定に関する信用性、地裁は判断ぶれた Vol.2 高裁判決、「具体的かつ迫真的」という部分が独り歩きした Vol.3 医師が「これでは医療ができない」と心配する必要ない ―― DNA鑑定の信用性認定について一貫性を欠いている点以外に、地裁判決の問題点はありますか。 前提として、事実認定全体のプロセスを整理します。地裁では、「せん妄の可能性があるので、有罪であることに疑いがある」と認定して無罪になっています。これを受け、高裁では(1)一般的なせん妄と術後覚醒時せん妄は違うのか、(2)せん妄が出た場合、幻覚は生じるのか――を詳しく検討したいと、裁判所が示しました。 地裁判決の問題点は、「麻酔覚醒時せん妄」と「一般的なせん妄」を区別せず、「一般的なせん妄」を根拠に被害者の供述の信用性を認めなかったことだと思います。 ――DNA鑑定の評価以外に、地裁と高裁で、判断が分かれた理由を、改めて教えてください。 被害者供述の信用性に対する評価が、地裁と高裁で異なります。地裁は、せん妄の影響を受けて...