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死亡医療事故における損害賠償金額、どう算定するか

オピニオン 2020年10月4日 (日)  末石倫大(平沼高明法律事務所)

【はじめに】 診察・看護等を行うにあたって、特に総合病院等では、日常、患者が死亡退院する場合は少なくないものと思われます。しかしながら、それが医療従事者の過失(医療過誤)によって死亡させてしまったという場合には(または、そのように遺族に主張された場合には)、我々のような法律家が登場する場面となります。医師や看護師等の医療従事者が、診療・看護等を行うにあたって、過失(医療過誤)によって患者を死亡させてしまった場合、民法の規定に従って、遺族に対して「損害」を賠償する義務を負うこととなるからです。 過失(医療過誤)によって患者が死亡し、病院や医師が損害賠償責任を負う場合、現在の実務では、賠償しなければならない金額の算定方法の基本的な枠組みは、交通事故の場合の賠償額の基準を参考として、ほぼ確立しているところです。実務でよく使われるのは、日弁連交通事故相談センター東京支部の「損害賠償額算定基準」という本です。この本は法律家から「赤い本」と通称されて(見た目が赤いからです)、裁判実務でも参考とされております。しかし、近時、特に高齢の患者を死亡させてしまった場合の慰謝料について、興味深い論稿が、医療...