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「海外医学部卒医師は使えない」から発想の転換必要

オピニオン 2020年10月24日 (土)  佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科医長兼国際室室長代理)

2019年7月のことですが、社会保障審議会医療部会で、「海外の医学部卒で医師になるルートについて議論していく必要がある」と定員数について検討していることを示唆しました。 私自身、英国の医学部を卒業し、日本に帰国しましたが、海外医学部を卒業した医師が少なくとも医療現場では増加しているといった印象は受けませんでした。 実際、日本は海外医学部卒の医師は多くなってきているのでしょうか。そして今後それを抑制するのが日本の医療において正しい選択なのでしょうか。 海外医学部卒の医師数が過剰? まず現状から申しますと、海外医学部卒の医師は増えてはいるものの、国際的に見ればかなり低い数字です。 海外医学部を卒業し、日本の医師免許を取得した医師数は、2019年2月実施の医師国家試験で95人でした(『2022年度以降の医学部定員、2020年春ころに方向性提示へ』を参照)。確かに単純に数だけに注目すると2016年の63人と比較し増加傾向です。しかし、医師国家試験の合格者総数は9029人だったので、海外医学部卒医師はその約1%にすぎません。さらに日本の医師数全体の割合からすれば、海外医学部卒医師数はかなり少ない...