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生殖補助医療技術等を巡る規制枠組みについて

オピニオン 2020年11月8日 (日)  鵜木崇史(長島・大野・常松法律事務所)

【質問】 クリスパー・キャス9というゲノム編集技術を発表したエマニュエル・シャルパンティエ博士とジェニファー・ダウドナ博士が2020年のノーベル化学賞を受賞しました。ゲノム編集技術のみならず、その他の生殖補助医療技術(ART)についても、近年目覚ましい発展が報じられていますが、生殖補助医療技術については生命倫理上の問題もはらむと聞いています。どのような形で規制が行われているのでしょうか。 【解説】 1.生殖補助医療技術とはどのような技術で、どのような生命倫理上の問題を有するのでしょうか。 採卵、媒精、顕微授精手技、卵子および受精卵の培養や胚移植等が生殖補助医療技術の典型例です。そして、晩婚化による出生率の低下や、子供を持ちたいという希望を有するLGBTカップルからのニーズに対する回答となる可能性があることから、生殖補助医療技術に対しては期待が集まっているところです。 また、1978年に世界初の体外受精児がイギリスで誕生して以来、生殖補助医療技術は発展を続けてきました。1996年には同じくイギリスでクローン羊ドリーが誕生したほか、中国においても2014年に遺伝子操作サルが誕生し、2018...