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イレウス?腸閉塞?混同しやすい急性腹症

オピニオン 2020年11月1日 (日)  志賀隆(国際医療福祉大学教授/同大学病院救急医療部部長)

当直中の午後6時、循環器病棟よりコールがありました。 心不全治療で入院中の75歳女性。昼頃から下腹部痛と頻回の嘔吐あり。吐血、発熱なし。最終排便は2日前。最終排ガスは当日午前4時。既往に高血圧あり。血圧110/80mmHg、心拍数90/分、呼吸数20/分、SpO2・96%(RA)。腹部は緊満しており、下腹部全体に圧痛がある。しかし、腹膜刺激症状はない。腸蠕動音は消失。腹部超音波検査では拡張した腸管を認める。 研修医の中には、こうした症例を「イレウス」と報告してくる方がいます。どうも、イレウスと腸閉塞を混同しているようです。 今回は消化器の疾患としてとても重要な腸閉塞について、用語の定義や診断方法などの論点を取り上げます。 「イレウス=腸閉塞」では誤解を招く恐れも 日本国内では「イレウス=腸閉塞」ということである程度共通理解があります。しかし、Merriam Websterというオンライン辞典にてileusを引いてみます。すると、「functional obstruction of the gastrointestinal tract and especially the small i...