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「“事故調”に制度根幹にかかわる法的問題」、滋慶医療科学大学長が指摘

レポート 2020年12月7日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

滋慶医療科学大学院大学は12月6日、「医療事故調査制度5年間を振り返って」をテーマに、医療安全特別セミナーをオンラインで開催した。学長の木内淳子氏は、医療事故調査制度について一定の評価をしつつ、「医療機関、特に管理者は、本制度を正しく理解し、自律的に医療安全に取り組むことにより、さらなる信頼を得る努力をすべき」と求める一方、「本制度には幾つかの課題がある。特に法的な問題点は制度の根幹にかかわる」との懸念を呈した。 「法的な問題点」の一つが、事故調査報告書が裁判に使用されるケースがある上、それがネックとなり、報告自体の障害にもなっている点だ。刑事弁護の第一人者である弁護士の後藤貞人氏は、医療事故調査制度自体はWHOのガイドラインに沿ったより良い制度であると評価した一方、「医療事故についての刑事捜査は、この制度ができたからと言って、全く変わっていない」と問題視した。「法が予定したのと、だいぶ違ったかたちで運営されている。その一番の原因は遺族の意向だろう」と述べたほか、「今のマスコミ報道は患者側の意向に沿い、責任追及の方向に向かっている。医療事故調査制度に基づく調査と、患者への対応は別に行う...