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「褒めること」をためらう日本の医療文化

オピニオン 2020年12月20日 (日)  佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科医長兼国際室室長代理)

皆さんは、部下や同僚を十分褒めていますか? 幸いなことに今の私の上司はよく周りを褒めてくれるおかげで、のびのびと働かせていただいています。しかし私が日本に帰国してからの過去を振り返ってみると、必ずしもいつもそうであるとは限りませんでした。必死に時間外に患者を診ようとも、それを評価することなく、当然視する上司もいました。そのころは英国から帰国し突然の職場環境の変化もあり、心が折れそうな時期もありました。 私が日本の医療現場で働いてみて率直に感じたことは、「もっと素直に上司や同僚に仕事を認めてほしかった」ことでした。さらに欲を言えば、それを「言葉」でしっかり伝えてほしかったということです。BBCのコラムニスト、エリック・バートンは、2016年8月23日、「なんで日本では褒めないのか」という記事の中で、「伝統的な日本の階層的な職場社会においては、ポジティブなフィードバックは、ほぼあり得ない」と書いています。まさに日本は「西洋の国々とも、ほかのアジアの国々とも全く異なるルール」の下の特殊なコミュニケーションカルチャーと言えるかもしれません。 しかし、私が日本で上司からあまり褒められなかったこの...