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イギリスでのスポーツ医学を勉強して思うこと◆Vol.3

オピニオン 2021年1月11日 (月)  伊東知子(藤田医科大学総合診療研修プログラム指導医)

【イギリスでのスポーツ医学を勉強して思うこと】 Vol.1 なぜ私がスポーツ総合医を目指したか Vol.2 英国での学びと日本のスポーツ医療の課題 Vol.3 スポーツイベントをめぐる課題、日英の比較から Vol.4 東京五輪を機にスポーツ医療の体制整備を Vol.2では、ロンドンにある名門University College London (UCL)で学んだスポーツ医学の特徴などを紹介した。Vol.3では、日本のスポーツ医学の現状と、スポーツイベントをめぐる制度的な課題について紹介する。 スポーツ医療関係者の待遇と質の担保 日本では、少年野球の肘検診などの活動は、保険診療として扱われず、その団体が独自で医師への報酬を決めているため、その報酬は、医療機関で支払われる診療報酬より低いことがほとんどである。医師の業務形態としても、日常診療外の仕事(アルバイト)として成り立っていることが多いため、それで生計を立てることは難しい。スポーツ診療を掲げている医療機関は少なく、限られた医師しか雇用できない。スポーツドクターとして活動している知人の医師の多くは、平日はスポーツとは関係のない診療にあたっ...