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不妊治療の保険適用は、少子化対策なのか―吉村泰典・慶應義塾大学名誉教授に聞く◆Vol.1

インタビュー 2021年1月23日 (土)  聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)、橋本佳子(m3.com編集長)

菅義偉首相が2020年9月の自民党総裁選で掲げた不妊治療の保険適用。過去にも国会で取り上げられながらも立ち消えになっている経緯があり、実現までには曲折も予想される。現在の特定不妊治療助成制度にも深く関わった、日本産科婦人科学会や日本生殖医学会の元理事長で慶應義塾大学名誉教授の吉村泰典氏に、不妊治療の課題やこれまでの経緯、そして少子化対策について伺った。 ――不妊治療の保険適用について、どう受け止められましたか。 政府の少子化社会対策大綱が2020年5月の終わりに出ました。僕は仕事柄、大綱は必ずチェックしていて、何故そこで不妊治療の保険化が出てくるのか分からなかったんです。その後、6月に自民党の野田聖子さんや甘利明さんが「不妊治療への支援拡充を目指す自民党の議員連盟」を作りました。野田さんは選挙区が岐阜で、僕も岐阜出身でつき合いがあるので、「保険化できるの」と聞いてみました。そしたら、彼女も全部を保険には難しいと分かっていたんです。 要するに女性差別というか、今まで保険化と言うときに、例えば禁煙外来の診療であれば、すぐに保険化されるわけです。ところが女性の不妊症に関しては、病気と見なされ...