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生殖医療クリニック、保険適用で潰れるところも?―吉村泰典・慶應義塾大学名誉教授に聞く◆Vol.3

インタビュー 2021年2月6日 (土)  聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)、橋本佳子(m3.com編集長)

――そうした実態に、設定される保険点数が見合わないことにもなるのではないでしょうか。 2番目の問題は、恐らく標準治療に設定されることになると、多分、高く点数が設定されることはないと思います。そうなると、地方のクリニックでは周期数がそれほど多くないと、クリニックのクォリティーを保てなくなり医療を継続できなくなるところも出てくると思います。地方でも500周期以上実施しているクリニックだったら、少なくとも胚培養士が3〜4人います。1000周期以上だったら10人近くいると思います。臨床心理士や、不妊治療専門の看護師である認定看護師やカウンセラーもいます。保険適用になると、このあたりの人件費が負担になるのではないか。今は日本全国に約600施設ありますが、地方のクリニックがなくなると患者がアクセスしにくくなってしまいます。 3番目の問題点は少し専門的ですが、体外受精で今使っている医薬品の中には、医療用の医薬品ではないものもあります。日本で使用している医薬品の多くが、試験管の中では使えるとか、動物には使えるとか、研究にだけ使用できるものです。米国のFDAや、海外で認可されたものを直輸入して使っていま...