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特定不妊治療助成なくなり、不利益を被る人も―吉村泰典・慶應義塾大学名誉教授に聞く◆Vol.4

インタビュー 2021年2月22日 (月)  聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)、橋本佳子(m3.com編集長)

―― 一方、保険適用にすると現在の特定不妊治療助成はどうなるでしょうか。 なくなってしまうでしょう。そうすると、かえって不利益を被る人が出てきます。2〜3回で妊娠する人は、助成をもらった方が得です。保険適用ならば、体外受精1回に4万点なら3割負担で12万円、3万点でも9万円払わなくてはいけないわけです。それを何回もやるということになってくると、保険適用になったらお金を払わなければならない訳ですから、助成を増やした方がいいという人も出てきます。「こんなはずじゃなかった」と言い出す人も出てくると思います。また、地方では、保険適用になると経営が成り立たなくなって閉院するクリニックも増えてくるかもしれません。近くに施設がなくて毎回遠くまで通院しないといけないということも起こりえます。 今年1月より、助成制度に所得制限はなくなりましたこれは医師のみならず患者の希望でもありました。東京都内だと夫婦の所得合計が730万円というのは共働きならだいたい超えてしまいますから、多くのカップルが助成制度の恩恵を受けていませんでした。たとえば慶應義塾大学病院ではカップルの10%も助成を受けられていません。夫婦の...