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「秋葉原・無差別殺傷事件現場での救命活動と課題-大分県立病院・山本氏

オピニオン 2008年6月25日 (水)  山本明彦(大分県立病院救急部長)

現場の状況 6月8日正午過ぎ、東京・秋葉原で無差別殺傷事件の発生直後現場に遭遇した。ちょうど週末に行われた日本臨床救急医学会総会のために上京しており、合間に秋葉原へ足を延ばしたところ、複数の救急車、消防車が集まってきていた。辺りの様子から「明らかにただごとではない」と判断、消防の指揮所が設置されていたため、助力を申し出て救命活動に当たった。 私が関与した負傷者は2人。一人目は女性で、観察したところ皮膚が冷たく湿っており、脈が早いことからショック状態であると分かった。点滴が必要であると判断したが、救急車で輸液を探すことができなかった。救急隊はいるものの、現場があまりに混乱を極めており、「誰に何を行う」という判断がつかない状態だったためだ。十分な救急処置を行うためには、一人の傷病者につき1台の救急車が必要である。しかし、この時点での救急処置の需要に供給が間に合っておらず、どの負傷者を優先するか、誰に何を使うべきかが全く分からない状況だった。間もなく、その女性に救急車が1台割り当てられることとなり、収容を急いだ。居合わせたもう一人のドクターが同乗し、近くの病院へ搬送された。 このほかにもまだ...