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チーム医療の責任者に説明義務を認めず-弁護士・水澤氏

オピニオン 2008年5月2日 (金)  水澤亜紀子(弁護士・医師)

【事案の概要】 2008年4月24日に、説明義務に関して判断した最高裁判決が出された。これは、大動脈閉鎖不全のためA病院(大学付属病院)に入院して大動脈弁置換術を受けた患者Bが手術の翌日に死亡したことについて、患者Bの相続人らがA病院(開設者)や手術に関するチーム医療の総責任者であり、かつ手術を執刀したC教授(当該診療科教授)などを訴えた訴訟の判決である。裁判では、手術手技上の過失や説明義務違反(執刀医が誰かという点や、疾病の特性による手術の危険性を患者Bや家族らに対して説明しなかったこと)について病院や医師らの責任が問われた。主治医が術前説明を行った後に執刀医がC教授に変更されたが、主治医はそもそも執刀医について患者Bらに説明していなかったので、変更したことについても説明しなかったとのことである。第一審判決では、A病院およびC教授については手術手技上の過失や説明義務違反は認められないと判断された。 患者Bの相続人らが控訴した。控訴審でも手術手技についての過失を認めず、執刀医が誰であるか、および執刀医の変更について説明義務を認めなかったが、「A病院におけるチーム医療の総責任者であり、か...