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医師の長時間勤務で医療安全は低下-北大・江原氏

オピニオン 2008年4月15日 (火)  江原朗(北海道大学大学院医学研究科予防医学講座公衆衛生学分野客員研究員)

1.勤務体制に事故原因を求めていない現在の医療体制 昨今、小児救急をはじめとして、時間外・休日の受診患者数の増加が著しい。その一方、時間外・休日に応需する救急医療機関の数は減少している。 病院勤務医は研修医・指導医にかかわらず、長時間労働を余儀なくされている。24時間眠らないと、集中力は運転免許の停止処分を受けるのと同等の酩酊状態にも匹敵する。こうした状態の下で当直明けの医師の診療は行われているのである。しかし、医療事故が発生した場合、責は医師個人が負うことになる。適切な労務管理を行うべき病院管理者の責任は問われていない。 一方、運送業などでは、過労運転を防ぐために法的な規制がなされている。万一、違反した場合、運転者本人だけでなく、雇用主も処罰される。医療事故が発生した場合、原因は医師を疲弊させる勤務体制にもあるのではないか。こうした考えから、長時間勤務と医療安全との関係を検討してみた(Ehara A. Are long physician working hours harmful to patient safety?.Pediatr Int .2008;50:175-178)。 2...