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「未承認薬」保険併用は本当に実現するのか◆ Vol.8

スペシャル企画 2008年4月9日 (水)  上 昌広(東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門准教授)

3月26日、厚生労働省は混合診療について新制度を設け、薬事法で承認されていない医薬品や医療機器を使った場合でも、一定のルールに基づけば保険診療との併用を認める方針を中央社会保険医療協議会(中医協)に示し了承された。この制度は保険外併用療法における「高度医療評価制度」と位置づけられ、3月31日、厚労省医政局長より各都道府県知事に対し、本制度についての通知が送付された。これに伴い、先進医療についても、保険局医療課長・同歯科医療管理官より地方社会保険事務局長に対し通知が送付された。 患者、医療者は、高度医療評価制度の創設により、未承認薬を用いて混合診療を行った場合の経済的負担が軽減されることを期待するであろう。混合診療における費用負担は医療界が抱えた大きな問題で、2007年12月14日の経済財政諮問会議で舛添要一・厚生労働大臣も「混合診療については、むしろ負担が多いという議論が圧倒的に多い。国民皆保険の崩壊につながる。だから貧乏人泣かせというのが基本的な議論である」と指摘している(「情報公開なき感情的水掛け論から脱却を」)。筆者も、本制度の創設が、未承認薬の使用を切実に希望する患者たちにとっ...