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混合診療の解禁で患者負担は増えるのか◆Vol.6

スペシャル企画 2008年1月7日 (月)  上 昌広(東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門准教授)

混合診療を巡る議論の主な焦点は、安全性と、混合診療の解禁でむしろ患者負担が増えるという懸念の2点に絞られることをvol.5「情報公開なき感情的水掛け論から脱却を」で書いた。安全性については、vol.1「混合診療禁止では患者への不利益も多々」、vol.3「厚労省の姿勢に対する3つの疑問」でも述べた通りである。患者負担が増えるか否かという点は、厚生労働省が十分なデータを情報公開していないため、国民は感覚的な水掛け論しかできない状況に置かれている。 ところが、ほとんど情報公開しない厚労省と折衝して、未承認薬の個人輸入に関するデータを公開させた敏腕研究者がいる。(財)医療科学研究所研究員の辻香織氏が、2005年分「医師個人用」薬監証明データをエクセルデータの形で入手した。この貴重なデータの分析結果(1)を紹介することによって、混合診療解禁によって「患者負担が増えるか減るか」という水掛け論が、少しでもエビデンスに基づいた議論になればと願う。 海外では承認されているが、国内では未承認の薬については、医師あるいは患者が海外市場にある医薬品を個人輸入し、自己責任下で使用することが可能だ。しかし、保険診...