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混合診療禁止の違法判決を読み解く◆Vol.2

スペシャル企画 2007年11月26日 (月)  上 昌広(東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門准教授)

前回も触れたように、2007年11月7日、混合診療を認めないのは違法とする東京地裁判決(定塚誠裁判長)が出た。腎臓癌に対して活性化自己リンパ球移入療法(保険外診療)と併用しても、インターフェロン療法(保険診療)について保険給付を受ける権利があるというものだ。 これまでの混合診療禁止という厚生労働省の方針を覆した判決は、近年の厚労省の信頼の失墜や、治療に関する自己選択の多様化、自ら選ぶという国民の認識の変化といった、時代背景を反映した判決といえる。以下に、判決文の内容を簡潔に紹介するが、特に争点2については、保険の出資者である国民が判断すべき大きな課題であり、厚労省独自の解釈で決められる問題ではないはずだ。国民一人ひとりが考え、意見すべき時が来ている。治療中でありながら、国を相手に戦い、こうした議論の端緒を作った清郷伸人氏(1)の、勇気と行動力に、心から敬意を表したい。 ◆争点1:国は、保険診療と、保険外診療が併用された場合、これらを不可分一体の医療行為と見て、併せて保険給付(2)に該当するか否かを判断すべきと主張。 これに対して、裁判所は、法律レベル(3)を見ても、法律の下位レベルの規...