混合診療禁止では患者への不利益も多々◆Vol.1
スペシャル企画
2007年11月20日 (火)
上 昌広(東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門准教授)
2007年11月7日、混合診療を認めないのは違法とする東京地裁判決が出た。混合診療禁止によって活性化自己リンパ球移入療法(LAK療法)を受けられなくなったとして、LAK療法をインターフェロン療法(保険診療)と併用して受療できる地位の確認を求めた原告に対し、東京地裁がこれを認め、国側敗訴となった(16日に国は控訴)。これに関しては広くマスメディアで報道されているが、厚生労働省、日本医師会、健保団体のコメントばかりが強調され、患者の視点が全く欠如していることに懸念を覚える。 政府の規制改革会議は、12月にまとめる第二次答申で、混合診療の全面解禁を求めると聞く。また、今回の問題以外にも、未承認薬の使用や新薬・新医療技術の臨床研究を進めにくいなど、様々な場面で現行制度には問題がある。 一方、混合診療にも様々な問題がつきまとうが、今回は患者のニーズという側面を考えてみたい。保険診療に認められている治療法では不十分な場合など、保険外診療を受けたいという患者のニーズは当然存在するし、受ける権利はあるはずだ。したがって、保険外診療を受けるなら、保険診療を受けることをも事実上阻害するという、厚労省の混合...
m3.comは、医療従事者のみ利用可能な医療専門サイトです。会員登録は無料です。