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無罪確定は「終わり、そして始まり」、検察は控訴せず◆Vol.26

レポート 2008年9月4日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

福島県立大野病院事件では、業務上過失致死傷罪と医師法21条違反に問われた加藤克彦医師に8月20日に無罪判決が出たが、控訴期限の9月3日までに検察は控訴しなかった。既に8月29日に検察は控訴しない旨を公表していたが、法的に加藤医師の無罪が確定したことになる。 本件では判決確定で「終わり」だが、これは「始まり」でもある。言い換えれば医療界、ひいては社会にとって、本件を教訓として検討すべきことが多々ある。 「始まり」の一つは、医療事故が発生した際に、業務上過失致死傷罪をどう適用するかに関して、この判決をたたき台に議論が始まるという点だ(『大野事件判決 - 医師にとっての臨床上の教訓』、『医学・医療の不確実性を正面から見据えた判決』を参照)。 また、診療関連死の死因究明などを行う第三者機関設置に向けた議論は、8月20日直後から既に活発化している。そもそも本件で、警察の捜査の発端になったのが、「県立大野病院医療事故調査委員会」の報告書であり(「事故報告書は再発防止が目的、法的意味なし」を参照)、判決では異状死の届け出を定めた医師法21条についても一定の解釈が出された。 診療関連死に遭遇した遺族を...