ご遺族の視点からの大野事件をとらえ直す◆Volo.24
レポート
2008年8月26日 (火)
野村麻実(国立病院機構名古屋医療センター産婦人科)
1998年名古屋大学医学部卒業後、岡崎市民病院産婦人科、名古屋大学大学院終了、小牧市民病院、津島市民病院を経て、2007年から現職。 8月20日、大野事件における第一審の判決が出た。この判決は癒着胎盤を経験したことのある、すべての産婦人科医師にとって「術中死ではあっても病死」と受け取れる、正しいとしか言いようのない判決ではあったが、同日行われたご遺族の記者会見では 「一生、機会があれば真実を追究していきたい」との発言もあったという。「再発防止」「いまだに(真実究明は)不十分」との言葉の裏には、隠された医療過誤があったはずとの強い気持ちを感じざるを得ない。 15回に及ぶ裁判の中で審議は尽くされ、少なくとも加藤医師の医療行為については、これ以上の新事実は見いだせないのではないだろうか。癒着胎盤は、大学病院で十分な輸血を用意し、最初から胎盤を剥離せずに子宮摘出を行っても亡くなる可能性のある病気である(PDF:179KB)。 ご遺族がここまで思いつめるに至り、裁判にご遺族を巻き込んでいった部外者の手による「刑事訴追」が、どのようであったのか。私見ながら考察してみたい。 ■捜査の開始 患者さんが...
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