無罪の根拠は「胎盤剥離の中止義務なし」◆Vol.16
レポート
2008年8月20日 (水)
橋本佳子(m3.com編集長)
帝王切開手術時に女性が死亡、手術を担当した福島県立大野病院の産婦人科医だった加藤克彦医師(40歳)が業務上過失致死罪と医師法21条違反に問われた裁判の判決が8月20日、福島地裁であった。鈴木信行裁判長は裁判の冒頭、「被告人は無罪」と述べた。検察の求刑は、業務上過失致死罪で禁固1年、医師法21条違反で罰金10万円だった。 この事件は、2004年12月17日、帝王切開手術の既往がある前置胎盤の女性が、帝王切開手術時に死亡、執刀した加藤医師が業務上過失致死罪と、異状死の届け出を定めた医師法21条違反に問われていた。 裁判の最大の争点は、「胎盤剥離が困難になった時点で剥離を中止して、子宮摘出術に移行する義務があったか否か」という点だ。この点について判決では、「子宮摘出術等に移行することが本件手術当時の医学的準則であったと認めることができない」などとし、加藤医師が胎盤剥離を継続したことは注意義務に反することではないとした。 検察が控訴するか否かは現時点では未定。 福島地裁には多数の報道陣が取材に訪れていた。 「結果の回避ができたか」が最大の争点 25の一般傍聴券を求めて並んだのは、788人に上っ...
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