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「応急処置しかできない悔しさと悲しさ」-国境なき医師団・荻原麻美子氏に聞く

インタビュー 2008年5月1日 (木)  聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)

国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres;MSF)は、戦争や貧困などに苦しむ地域で、医療・人道援助を行う国際団体。「応急処置しかできず、根本的な状況を変えることができない悔しさ、悲しさを感じた。現地で見てきたことを日本で伝えていきたい」。イエメンでの活動を終えて帰国したばかりの内科医、荻原麻美子氏はこう語る。イエメンでの活動のほか、国際医療協力を中心にこれまでのキャリアについて、インタビューした。 「機会があればまた活動したい」と語る、荻原麻美子氏。 ――国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres;MSF)では、2007年9月からイエメン沖に到着する難民ボートへの援助活動を開始しました。 イエメン沖には、対岸のソマリアやエチオピアから、紛争を逃れるために年間平均で約2万5000人もの方が難民として逃れてきます。しかし、この難民船は密航業者によるものなので、その航海は想像を絶するほど過酷です。2007年には2万9500人以上がイエメンに渡ったとされ、うち約700人が死亡、約700人が行方不明になっています。この数は2008年に入ってさらに増え...