1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 「いつ被災するか分からず」備え必須 - 眞瀬智彦・岩手医大災害医学教授に聞く◆Vol.3

「いつ被災するか分からず」備え必須 - 眞瀬智彦・岩手医大災害医学教授に聞く◆Vol.3

スペシャル企画 2021年3月8日 (月)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

【眞瀬智彦・岩手医大災害医学教授に聞く】 Vol.1◆震災の教訓生かし災害医学を新設 Vol.2◆DMATの現場対応能力、コロナ対応でも発揮 Vol.3◆「いつ被災するか分からず」備え必須 ――震災から10年。岩手の沿岸部の状況について、先生の受け止めをお聞きします。 沿岸部には漁業と観光産業で生活している人が多いのですが、時々沿岸を車で走ると目の前に広がるのは、沿岸部を走っているのかが分からない風景。震災前よりも、ずっと高い防波堤がつくられたからです。縦貫道路は沿岸部ではなく、内陸の高台につくられ、時々遠くに海が見えるくらいで、これでは観光客が来るはずはない――と思ってしまいます。今まで通りに自然を見えるようにして、山側への道をたくさんつくり、津波が来たら、とにかくそのルートを使って逃げる計画にすれば、観光や観光産業にとってよかったのでは、と思うので、ちょっと残念ですね。 また場所によっては、十数メートルの土盛りをして、その上に新しい町を造成しています。東日本大震災時は20メートル以上の津波が来たので、そんな中途半端なものをつくってどうするのか――というのが、今の僕の印象です。 漁業...