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高齢者医療の現場、「サイレント・ブレス」を守るためには-医師・作家の南杏子氏◆Vol.2

スペシャル企画 2021年3月7日 (日)  聞き手・まとめ:高橋直純、(m3.com編集部)

中山:南先生は現在、医師としてはどのようなお仕事をされているのですか。 南:週4日はフルタイムで高齢者病院の病棟、週1日は外のクリニックで外来をやっています。病院は約700床で、平均年齢90歳、平均入院期間が3年5カ月です。患者さんの8割以上に認知症があります。クリニックでも認知症外来をやっています。 中山:不勉強で申し訳ないですが、認知症外来はどういう診療になるのですか。 南:多いのは周囲の人が本人の異変に気づいて、家族と患者さんが一緒に来るケースですね。運転免許の更新時や怒りっぽくなったとか、だまされて高いもの買ってしまったなどのトラブルなどがきっかけです。まずは認知症の原因を鑑別して、それにあったお薬を出しながら、毎月通ってもらって、最後は介護につなげるという感じですね。 介護認定を受けてもらいつつ、家族関係にトラブルが生じる場合も多いので、家族には「子どもが現実を受け入れていくしかないですよ。そうじゃないと、お母さんもつらいですからね」みたいな話をしたりしています。 南杏子氏 中山:入院につなげることもありますか。 南:疾患が認知症だけでは、入院は最後の最後なんですよ。例えばア...