1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 福祉施設のクラスター対策が「圧倒的に難しい」理由

福祉施設のクラスター対策が「圧倒的に難しい」理由

オピニオン 2021年2月27日 (土)  稲葉基高(ピースウィンズ・ジャパン医師)

国内での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大から約1年間、これまでクラスターが発生したクルーズ船、一般病院、精神科病院、介護福祉施設などに外部支援者として入ってきました。 その中でも圧倒的に対策が難しいと感じたのはやはり介護福祉施設です。私が所属するNGO「ピースウィンズ・ジャパン」では2020年夏から、NGO「災害人道医療支援会」と連携して介護福祉施設向けのオンライン研修・相談会とPPE(個人防護具)の物資支援を延べ1300以上の施設に行ってきましたが、このような活動がもっと広まっていれば、と感じずにはいられませんでした。現在はチャットボットを活用して現場の疑問に答える取り組みを行っています。 なぜ介護福祉施設ではリスクが高く、対策が難しいのか、いくつかのポイントに絞って私見を述べさせていただきます。 介護福祉施設の職員に助言する稲葉氏(中央)(ピースウィンズ・ジャパン提供) (1)そもそも生活の場であり、医療を行う場所ではない 介護福祉の現場にいらっしゃる方からすると「何を今さら」と思われるかもしれませんが、病院で勤務している外部支援者が最初に戸惑うハードルではな...