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「ネオウイルス学」発足の狙い - 河岡義裕・東大医科研特任教授に聞く◆Vol.1

インタビュー 2021年4月3日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 『ネオウイルス学』――。副題として「ウイルスと生命、共生と進化の未来を探る!」との文字が躍る本書を編集、この3月に集英社新書として上梓したのは、日本のウイルス研究の第一人者、東京大学医科学研究所教授の河岡義裕氏だ(2021年3月末で定年退職。4月1日から東大医科研特任教授)。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に代表されるように、ウイルスには「悪玉」、負のイメージが強いが、河岡氏は「ウイルスは生態系の構成要素」と言い、その「善玉」の側面にも光をあてるのが本書だ。20人の研究者が執筆した。  ネオウイルス学とはいったい何か。本書に込めた狙い、内容のほか、COVID-19関連の河岡ラボの取り組みなどもお聞きした(2021年3月22日にオンラインでインタビュー。全3回の連載)。 ――先生が2016年に「ネオウイルス学」を立ち上げた経緯をお教えください。 (提供:河岡氏)  2016年度から5カ年計画で進めた、文部科学省の「新学術領域研究」という枠組みの研究が発端です。地球上には、10の31乗という膨大な数のウイルスが存在すると...