1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. あなたの不眠症は本当に不眠症?

あなたの不眠症は本当に不眠症?

オピニオン 2021年4月11日 (日)  佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科部長兼国際室室長)

※高齢者にベンゾジアゼピンを処方する際には、必ず「弊害と便益を慎重に天秤にかける」ことが患者を依存から守ることにつながります。高齢者では年齢とともに健康な高齢者の方でも睡眠が浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒が増加し、なんと80代では約3人に1人が不眠だと感じるようになります。また睡眠時間にも個人差があります。日本人の睡眠時間は全年齢の平均では7時間程度ですが、3時間ほどの睡眠で間に合っている人もいれば、10時間ほど眠らないと寝足りない人までさまざまです。つまり不眠症は不眠そのものだけではなく、「日中に不調が出現する」ことが問題だと認識することが肝要です。厚労省の統計によると、日本でのベンゾジアゼピン全体の約4分の1が高齢認知症患者に処方されており、改善の余地が十分にあります。認知症患者でベンゾジアゼピン処方を服用している患者は通常に比べ「大腿骨折」のオッズ比は1.4倍、「転倒」は2.6倍、「認知機能障害」は4.8倍、死亡率に関しては1.2倍から3.7倍と言われています。...