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東大法学政治学研究科教授・樋口範雄氏に聞く(4)◆Vol.34

レポート 2008年10月6日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

――では、“医療事故調”についてお聞きします。まず第三者機関への届け出ですが、厚労省案のように、一定の基準を満たした診療関連死は全例届け出るべきなのでしょうか。一方、民主党案では、まず院内で調査し、患者さんと話し合う、それでも紛争が解決しない事例について、届け出る仕組みです。 その二つには、大きな違いがあります。民主党案は、当事者が納得しない場合、トラブルになった場合に“医療事故調”を利用する仕組みです。ある意味では、非常に現実的な案です。 しかし、医療安全、つまり同様の事故を起こさないための教訓にする、公共の利益のために皆が動くシステムを作るのならば、全例の届け出が必要です。 ――今の日本医療機能評価機構がやっているように、匿名性を担保した上で死因究明・再発防止を行う仕組みと、実名での死因究明・紛争解決、両者を別建ての仕組みにすることはできないのでしょうか。 それは、日本医療機能評価機構の「医療事故情報収集等事業」が成功しているか否かの判断に左右されるのではないでしょうか。死因を詳細に調査するためには、ある程度、個人が特定できるような情報まで必要です。そこまでの調査を今、同機構は実施...