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東大法学政治学研究科教授・樋口範雄氏に聞く(1)◆Vol.31

レポート 2008年9月29日 (月)  聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)

福島県立大野病院事件で、異状死の届け出を定めた医師法21条に関する弁護側の意見書を書いたのが、東京大学大学院法学政治学研究科教授の樋口範雄氏だ。(1)医師法21条をめぐるこれまでの動き、(2)医療事故と刑事裁判のあり方、(3)大野病院事件の判決の21条と業務上過失致死罪についての解釈、(4)診療関連死の死因究明などを行う“医療事故調”のあり方について、樋口氏に聞いた(2008年9月25日にインタビュー。4回に分けて連載予定)。 樋口範雄氏は、日本内科学会などが2005年9月から開始した「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の運営委員会委員長、厚生労働省の「診療行為に関連した死亡の死因究明等のあり方に関する検討会」の委員を務める。 ――まず医師法21条をめぐる経緯について、先生がどう見ているのか、お聞かせください。 医師法21条については、「誤解を含む善意の積み重ね」でここまで来てしまったと考えています。 1990年代の初頭までは、診療関連死を警察に届け出なければいけないとは、厚生労働省も、また医療者も誰も考えていなかった。 ところが、94年に日本法医学会が診療関連死も届け出るべ...