主任弁護人・平岩敬一氏に聞く(下)◆Vol.30
レポート
2008年9月19日 (金)
聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)
平岩敬一氏は、「医師法21条に基づく制度は改正すべき」と指摘する。 ――では判決の内容についてお伺いします。最初に裁判長は「被告人は無罪」と読み上げたものの、判決の詳細を聞いていると、検察官の主張を認めている部分が結構あります。例えば、加藤医師の胎盤剥離行為と女性の死亡との間に因果関係があるとしています。 私は、それほど不自然ではないと思っています。現時点(9月12日時点)では判決全文を受け取っておらず、手元にあるのは判決要旨のみなので精査はできませんが、胎盤剥離によって大量出血が生じた、それが死亡という結果と結び付いている。この意味では、因果関係があるわけです。 さらに判決では、「癒着胎盤と認識した時点において、胎盤剥離を継続すれば、現実化する可能性の大小は別としても、大量出血し、生命に危険が及ぶことも予見できた」としています。しかし、ここで言う「予見」については、裁判所は「予見できることと、その行為をやめなければいけないこととは異なる」という説明をしていたと思います。 医療行為には何らかの危険を伴うことが多く、その意味では「予見」することも可能です。例えば、心臓手術など、身体の重要...
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