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  3. 都立病院の産婦人科医の立場から見た妊婦搬送問題(2)- 都立府中病院・桑江氏

都立病院の産婦人科医の立場から見た妊婦搬送問題(2)- 都立府中病院・桑江氏

オピニオン 2008年11月12日 (水)  桑江千鶴子(都立府中病院産婦人科部長)

4.医師側から見た病院の問題 公立病院は、医師側から見れば、待遇の悪さなどの様々な働きにくさがある。以下に列記する。 (1)低賃金・長時間労働である 医師の給与は病院の設立母体によって変わるので、「勤務医」としてひとくくりにすることはできないが、民間病院はおおむね需要と供給の原則に基づいて決まる部分があるが、公立病院は「公務員」であり、基本は一般の公務員給与と同じである。 ただ、それではあまりに待遇が悪く、医師の確保ができないので、医師には「初任給調整手当」がある。これは公立病院の医師確保のために1961年より始まったということだ。医師の仕事は長時間に及ぶが、時間外手当はまず全額出ることはないどころか、ほとんど出ない。緊急で病院に行く際などの特殊勤務手当は、低額の上に基本給の25%まで、という制約がある。特に昨年までの都立病院医師の給与は、総務省の調査では全国61自治体立病院の61番目で最低であった。 武弘道先生の著書『こうしたら病院はよくなった!』でも、都立病院の医師給与が全国的にも低いことに触れていて、「生活費が最も高い東京において、医師の給与総額がこんなに低く抑えられているのは納...