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米国での終末期医療と「医学的無駄」について-米ワシントン大・加藤氏

オピニオン 2009年1月28日 (水)  加藤 良太朗(米国ワシントン大学医学部内科インストラクター)

日本社会が加速度的に高齢化する一方、科学技術は飛躍的に発展し続けるため、終末期医療の問題は今後ますます重要になってくる。先日、本サイトで村重直子氏による「呼吸器外しと『Physician Assisted Suicide』」という適時な記事があった。ただし、米国では医師の一方的な判断で呼吸器を外したり、患者の死を早めたりしていると受け取られかねない記載については語弊がある。村重氏も、「一人でも多くの方に、意見を出していただきたい」と書いておられたので、今回はメディカル・フューティリティー(medical futility:以下、「医学的無駄」と邦訳)に焦点を当ててコメントさせていただく。以下はすべて米国での議論であるが、近い将来、日本でも同様な議論が必要となる可能性は大いにある。 1.「医学的無駄」の定義は存在しない 村重氏の論文中に、「 “medically futile” という判断は、医学的判断、つまり担当医による診断であり、その診断に従って呼吸器を外す行為は、担当医による医療行為の一環である」と記載されていたが、この点については賛同できない。そもそも医学的無駄とはどういう意味な...