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救急医としてオリンピック開催には賛成し難い

オピニオン 2021年5月15日 (土)  志賀隆(国際医療福祉大学救急医学主任教授/同大学成田病院救急科部長)

 医療界にとっては、2020年に続き、2021年も非常に大変な年になっています。特に、関西では非常に厳しい新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況ですが、該当地域で日夜奮闘されている先生方に敬意を表したいと思います。関東でも感染者が高く推移しており、インド由来の変異株の広がりにも注意すべき状況です。 今回は、開催か否かで世論が割れている東京五輪・パラリンピックについて、私なりの考えや開催される場合の課題をお伝えしたいと思います。 オリパラよりワクチンに医療従事者を  今、我々の部門では、働き方改革と日々の業務の両立を目指し、奮闘しています。自分たちの施設だけがうまくいけばいいというわけではなく、系列病院での勤務もあります。一定の休みを取りながら、日勤、当直、移動、授業、研究など多くのタスクをこなしており、どの職員も余裕はありません。正直、五輪・パラリンピックにスタッフを出せる状況ではありませんし、医師としては現在の状況を考えると、COVID-19患者の対応やワクチン接種に人を割きたいというのが本音です。  私はサッカーが大好きで、1996年アトランタ五輪で日本が...