薬害を起こさないための薬事行政の見直しについて - 帝京大・堀氏
オピニオン
2009年3月3日 (火)
堀明子(帝京大学医学部附属病院腫瘍内科・医療情報システム研究センター講師)
薬害の再発防止のための対策を講じる重要性は誰もが認めるところです。しかし、薬害肝炎が生じた当時と今とでは、薬事行政、医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)の体制などは大きく異なります。当時の制度下で起きたことの問題を、今の時代にそのまま当てはめて論じることはできない点には注意が必要です。現在対応できているリスク管理をより良いものにするにはどうするか、また、現在の体制でも対応し得ないような未知の薬害・事態が発生するリスクにどう対応していくかという、今後のことを検討する必要があるでしょう。 その際、特に重要な点は、組織を構成する人材と、データベースや薬剤疫学的手法等の科学的なツールの活用です。組織に関する論点としては、どんな人材を採用・育成し、どのような環境を形成するかという観点から、職員の出入りの流動性を確保し、異分野の専門家の融合の必要性があることを改めて強調したいと思います。 なお、「薬害」とは明確な定義がなく、個人によって解釈が異なる可能性があります。本意見書では、安全性上の問題を早期に発見、対応、情報公開できずに、健康被害として拡大し、社会問題化することを「薬害」と表現します。...
m3.comは、医療従事者のみ利用可能な医療専門サイトです。会員登録は無料です。