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「低密度医療の是正」を提言した理由‐土居丈朗・慶應義塾大学経済学部教授/財政審委員に聞く◆Vol.1

インタビュー 2021年6月30日 (水)  聞き手・まとめ:大西裕康(m3.com編集部)

 財務大臣の諮問組織「財政制度等審議会(財政審)」が5月21日に「財政健全化に向けた建議」をまとめ、麻生太郎財務大臣に手交した。政府が例年6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(いわゆる骨太方針)を念頭に4~5月頃にまとめることなどから「春の建議」とも呼ばれる。今回は、提言の対象として次期診療報酬改定を含む来年度の予算編成だけでなく、その先の社会保障全体の在り方にも注文がある。医療に対しては、「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」と明記したほか、現在の日本の医療が抱える問題を「低密度医療」と称し、是正の必要性を訴えるなど、刺激的な内容も含む。財政審の委員で同建議起草委員も務めた慶応義塾大学経済学部教授の土居丈朗氏に、「春の建議」へ込めた考えや、来年度予算編成の内容に具体的に踏み込む「秋の建議」に向けた考えを聞いた(2021年6月11日オンラインでインタビュー。全3回の連載)。ーー昨年は、初の緊急事態宣言発出などの影響もあり、「春の建議」取りまとめはなく、政府の骨太方針に対する提言は2年ぶりです。財政出動が不可避なコロナ禍が収束しない今、「コロナ以前」と比べて財政健全化の...