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出来高払いの診療報酬には限界が見えた‐土居丈朗・慶応義塾大学経済学部教授/財政審委員に聞く◆Vol.2

インタビュー 2021年7月10日 (土)  聞き手・まとめ:大西裕康(m3.com編集部)

――具体的には、どのような包括化が必要でしょうか。建議ではDPCを見直す必要性に触れています。 これはまだ個人の考えであり、財政審としてコンセンサスを得ているわけではありませんが、まず入院医療については、DPCの1日当たり入院費ではなく、もっと包括化すべきと考えてします。「1入院当たり」「PPS」と言うと、「ほら、削減目的だ」と医療界の方は警戒されますが、違います。 例えば、5日間の入院で十分という疾病の患者が6日以降も入院していた場合、その分の報酬はほぼ「ゼロ」のような設定に変える必要があると思います。現状は、何らかの理由で10日、15日となっても、逓減されつつも一定の点数は算定できる緩やかな設定です。平均在院日数を短くするというインセンティブは働いていると思いますが、「入院日数に比例した点数算定」という意味で、「出来高払い的な要素」が残っています。 形式はDPCのままでいいが、1入院当たりという点数付けに近づければ、患者1人に対する収入の見通しがつきやすくなるし、入院日数を頑張って長くしなくても収入が確保できるので、工夫できるはずです。医業収入安定化を図る水準の点数付けをした上で、...