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次期改定「報酬包括化へ、道筋を」‐土居丈朗・慶応義塾大学経済学部教授/財政審委員に聞く◆Vol.3

インタビュー 2021年7月21日 (水)  聞き手・まとめ:大西裕康(m3.com編集部)

――これまでも「診療報酬の包括化」は浮上しては消え、の繰り返しでした。診療報酬改定に向け具体的な議論をする中医協に、どのようなことを期待しますか。 どういう段階を経て出来高払いに過度に依存している構造から脱却していくかという道筋を考えていただきたい。繰り返しになりますが、今後の包括化は、医療費削減ではなく、医業収入安定化のためなのです。財政学者がなぜこう言うか。出来高払いに過度に依存しているが故に、過剰医療があるのであれば、それだけ余分に医療費の負担を国民に負わせているからです。包括化すれば、その国民負担が減らせるからです。少なからずそういう面があるということは、否定できないと思います。 一方、緩やかにしか変えられない、という医療提供体制と診療報酬の関係も理解しているつもりです。複雑に絡みあった報酬体系で、1つの点数設定を変えると、受療行動や医療の選択にまで影響を与えます。大きく変えた時の影響は、正直、読めない。つまり予算設定が難しいということです。 予算を立てた医療費を大幅に上回ることが年度途中などに分かると、それはそれは大変です。期中の予算切れなどという事態は一度たりとも生じさせら...