1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. なぜ育たない日本の先端医療技術産業(下) - 東大医科研・上氏

なぜ育たない日本の先端医療技術産業(下) - 東大医科研・上氏

オピニオン 2009年4月3日 (金)  上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授)

2. 躍進を続ける中国 国内の医療機器メーカーは1万5300社。年間生産額は2.4兆円。輸出は年間7600億円。一方、中国の医療機器産業は現在、飛躍的に伸びている。いずれも2007年の数字だが、中でも生産額は日本の市場規模とほぼ同額となっている。また年間の平均伸び率も著しい。生産額は15%増、輸出は22%増となっている。 医療機器産業を国家戦略として取り組む国は少なくないが、その象徴ともいえるのは中国だ。「健康中国2020年戦略」として策定し、国家として医療サービスを拡大させようとしている。戦略から主な点を抜き出すと―― ▽2010年までに都市と農村の住民に対する基本医療衛生制度を設立させ、全国民に基本的な医療制度を保障する国にする。 ▽2015年までに医療衛生サービスのレベルを新興国の上位並みにする。 ▽2020年までに基本医療衛生制度を先進国並みとし、医療レベルを先進国の中位レベルにする。 などとなる。どの点もアグレッシブとさえいえる目標であることはいうまでもない。 さらに米国側の動きを利用して、自国の産業を育成しようという狙いに見える動きもある。医療機器導入の障壁撤廃を課題にして...