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教授選、本命候補の「落とし方」、黒幕が作ると歪みとは何か

オピニオン 2021年8月8日 (日)  大塚篤司(近畿大学医学部皮膚科主任教授)

 人選ほど難しいものはない。 選考に最善を尽くし、「この人が良い」と決断してみても、実際に働き始めたら期待はずれということは多々あることだ。「思ったほど活躍しなかった」 これはまだ良い方かもしれない。 ひどい場合、「選んではいけない人」を選んでしまうことだってあるからとても怖い。 教授として着任した後、ハラスメント問題が表出した話をたまに聞く。選考委員会でしっかり選んでいたにも関わらずこういう事態は起こり得る。「新しい教授はぜんぜん臨床ができない」 新教授が着任した教室でしばしば聞こえてくる声だ。特に、いわゆる落下傘で旧帝大から他大学の教授に着任した者に対して使われることが多い。 これまで研究ばかりで患者はそっちのけ。Cell, Nature, ScienceなどCNSと呼ばれる一流誌の論文はあるものの、診断や治療はめちゃくちゃということだってある。 業績で選ぶということは、目で見える項目で選ぶということだ。教授選の業績といえば、論文や手術件数であるため、数値化できない臨床力やコミュニケーション能力は見落とされがちになる。 かと言って臨床力を客観的に評価することは難しい。同じ分野であ...