内部報告書に振り回された検察◆Vol.3
スペシャル企画
2009年5月4日 (月)
聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)
「裁判所が実施した人工心肺装置の実験計画書も、実質的には僕が書いた」と語る佐藤一樹氏。 ――「検察は分かっていなかった」とは、どんな意味でしょうか。 検察は警察とは違い、時間がなかった。逮捕されれば、拘留期限は最長でも23日間しかありません。膨大な資料を読むのではなく、自分たちの主張に沿った資料を使い、起訴状を書いてしまったのではないでしょうか。起訴した検事と2002年9月の初公判を担当した検事は違うのですが、両者とも自信満々のようでした。 翌2003年4月に担当検事が変わったのですが、同年5月に3学会報告書が公表された。ここには、「本来、陰圧であるはずの静脈貯血槽が陽圧化したのは、吸引回路の回転数が非常に高かったためではなく、フィルターが目詰まりし、閉塞したため」と記載されています。これを読んだからでしょう、検察は「吸引ポンプの回転数を上げると陽圧化する」という主張を捨て、2004年4月に訴因変更したのです。 しかし、事故当時、誰もフィルターが詰まるとは思っていなかった。3学会が全国の病院の実態調査などを踏まえ、陰圧吸引補助脱血法ではガスフィルターを使用しないよう勧告したのは2003...
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