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効果が大きくない薬ほど、「大規模試験」で高い薬価に?

オピニオン 2021年9月19日 (日)  國頭英夫(日本赤十字社医療センター化学療法科)

 前回ご紹介したように、2015年のASCO(American Society of Clinical Oncology)でのplenary sessionにおいて、ニューヨークにあるメモリアルスローンケタリングがんセンター(MSKCC)のLeonard B. Saltz博士がValue=Benefit/(Cost+Toxicity)という概念を提示されました。この式を眺めると、”value”を損ねる(低める)要素は(1)小さい効果、(2)高い薬価、(3)強い毒性――であることが分かります。そして、これら3つは独立の因子です。同じ薬を投与するのであれば量が多くなると効果も毒性も上がり、また値段も高くなるという関係はありますが、違う薬を考えれば、高くてあまり効かない薬、良く効いて副作用も少ない薬、副作用は少ないがやたら高い薬、等々の例を思い浮かべるのは容易でしょう。 “Value”を高める、というと、薬価を安くすることだ、と考える人が多いと思いますが、この考えはValue in cancer care consortium(vi3c、次回以降に説明)のChairmanに就任したAllen...