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奈良・時間外手当等請求事件を読み解く- 弁護士・藤野氏

オピニオン 2009年5月12日 (火)  藤野大介(弁護士)

奈良地方裁判所平成21年4 月22日判決(平成18年(行ウ)第16号 時間外手当等請求事件) 1.判決の要旨 奈良県立奈良病院の産婦人科に勤務する医師が、時間外ないし休日勤務に相当するはずの宿日直勤務および宅直勤務について、法定の割増賃金が支払われていないとして、その支払いを求めた事案です。 本判決で争点とされたのは、(1)日直勤務が「断続的労働」(労基法41条3号)に当たり、割増賃金の支払い義務がないのか、(2)宿日直勤務および宅直勤務(ならびにそのどの部分)が、「割増賃金を請求できる労働時間」に当たるか、(3)賃金の算定の基礎となる平均賃金の範囲、の3点です。 裁判所はそれぞれの争点に対して、(1)宿日直勤務は「断続的労働」とは言えない、(2)宿日直勤務は、その開始から終了までのすべての時間について「割増賃金を請求できる労働時間」に当たるが、宅直勤務は「割増賃金を請求できる労働時間」に当たらない、(3)医師に認められる各種手当てのうち、その実質から労働の内容や量と関係する手当を算定の基礎に含める、と判示しています(※なお、奈良地裁の本判決に対しては、被告は2009年5月1日に、原告...