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医療事故に対する刑事処罰の機運が高まる懸念 - 弁護士・木ノ元氏

オピニオン 2009年5月13日 (水)  木ノ元直樹(弁護士)

1.はじめに 今月21日より、従前の「検察審査会制度」が改められた「改正検察審査会法」が施行されることになった。この「改正検察審査会法」は、現在検察官に独占されていた「公訴権」(犯罪の容疑者を起訴するかどうかを決定する権限)の一部を一般国民の手に委ねるようにし、公訴権の実行に民意を反映させて、その適正を図ることが制度目的となっている。 施行直前に迫った改正検察審査会法の概要を説明し、医療界が何を考えるべきかについての指針を述べたい。 2.従前の検察審査会制度 今までは、検察が「不起訴」とした場合、被害者などが検察審査会に不服を申し立てることができ、検察審査会は、選挙権を有する国民から無作為に抽出された11人で構成され、「起訴相当」(11人中8人以上の多数)、「不起訴不当」(過半数)、「不起訴相当」(過半数)のいずれかの議決をするとされていた。そして、仮に「起訴相当」あるいは「不起訴不当」となっても、検察は検察審査会の意見には縛られなかった。実際、過去に検察審査会で「起訴相当」「不起訴不当」とされた事件のうち、実際に検察が起訴したのは25%程度にすぎなかった。 この中で、医療事故の場合に...