長期療養施設でのCOVID-19集団感染、疫学的報告

米ワシントン州の長期療養施設から拡がった新型コロナウイルス感染症（COVID-19）集団感染事例についての疫学的報告。 初発例は、同州キング郡の施設Aに入居する73歳、女性。2020年2月19日、咳嗽、発熱、息切れが発現。呼吸状態が悪化したため、2月24日に病院へ搬送された。搬送先では39.6度の発熱、頻脈、頻呼吸、低酸素血症を呈し、胸部CT画像で両肺にびまん性浸潤影を認めた。基礎疾患に、2型糖尿病、肥満、慢性腎臓病、高血圧、冠動脈疾患、うっ血性心不全があった。感染経路は不明だった。2月28日に新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）陽性が確定し、3月2日に死亡した。 初発例の情報覚知以降、州保健当局およびアメリカ疾病予防管理センター（CDC）が積極的疫学調査や確定例および疑い例の隔離、感染予防・管理の徹底を実施した。3月18日までに、施設Aとの疫学的な関連を認めるCOVID-19罹患例は計167例となった（101例が施設入居者、50例が施設スタッフ、16例が施設への訪問者）。入居者の感染例にCOVID-19による呼吸器症状が多く見られたが、7例は無症状だった。入居者、訪問者および...