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COVID-19死亡例の剖検で肺動脈血栓症と多臓器不全を確認

2020年5月28日  Annals of Internal Medicine

オーストリアの単施設で、死亡した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者11例の剖検を実施し、臨床転帰と主要臓器の病理学的変化との関連を検討した。 対象例の平均年齢は80.5歳、8例が男性だった。10例(91%)が抗凝固薬の予防投与を受けていたが、臨床的に静脈血栓塞栓症が疑われた患者はいなかった。両肺に、浮腫、硝子膜、肺細胞と線維芽細胞の増殖などのびまん性肺胞傷害(DAD)が認められた。全11例の小型ないし中型肺動脈にさまざまな度合いの血栓を認め、8例に隣接する肺組織の出血と梗塞、6例に気管支肺炎が確認された。 全例に両心室肥大、10例にパッチ状の心筋線維化が確認された。全例に肝臓のクッパー細胞増殖、8例(73%)に慢性うっ血性肝障害が認められた。このほか、肝臓に脂肪肝、門脈線維症、リンパ球浸潤と胆管増生、小葉内胆汁うっ滞、急性肝細胞壊死などが中心静脈血栓症と共に認められた。その他の臓器では、腎近位尿細管損傷や限局性膵炎、副腎皮質過形成、脾臓およびリンパ節のリンパ球減少などの頻度が高かった。新型コロナウイルスRNAは咽頭、気管支、大腸粘膜から検出されたが、胆汁からは検出されな...